世界の銘酒造りに欠かせない麦は、焼酎ではどのような特徴があるんだろう?
世界の銘酒造りに麦は原料としては欠かせません。
焼酎の原料となる麦はどのような特徴があるのでしょうか?
また、麦焼酎にしたときに、どのような味わいになるのでしょうか?
ここでは、第一次焼酎ブームのきっかけとなった、麦焼酎の原料である麦について解説していきます。
麦焼酎は、第一次焼酎ブームでは、ライトな飲み口の焼酎がブームの牽引役となりました。
その後で、麦焼酎は、樽貯蔵の焼酎なども登場し、焼酎の幅を広げる原動力になりました。
この記事を読み進めることで、以下の主な3つの内容について、知ることができます。
① 焼酎の種類の中で、麦焼酎が持つ魅力について、知ることができる。
② 麦焼酎の原料に使われている麦の種類や特徴について知ることができる。
③ 麦焼酎の原料である麦の歴史やウイスキーとの違いについて、知ることができる。
それでは早速ですが、次の章より、麦焼酎について、解説していきます。
麦焼酎の魅力について深く知りたい
焼酎はもともと、九州地方に限定された飲み物という印象が強かったのですが、大分県の酒造メーカーが造った麦と麦麹を使った100%麦焼酎が第一次焼酎ブームを起こしました。
減圧蒸留されたライトな飲み口で、焼酎のイメージを一変させたのでした。
そしてそれ以来、比較的全国的にも焼酎という飲み物が、認知されるようになりました。
ここでは、そんな焼酎の中でも最も飲み易い、親しみやすいと言われる、麦焼酎について、その魅力や種類、歴史などの知識について、解説していきます。
第一次焼酎ブームで、減圧蒸留で造られた焼酎の人気が一気に高まる中、最近では、常圧蒸留で製造された焼酎にもその価値が見直されてきています。
常圧蒸留酒は、特有の香ばしさと旨味について、再評価されるようになりました。
さらに、樽の中で長期間、寝かせたウイスキーのシングルモルト顔負けの麦焼酎が登場するようになります。
この樽貯蔵の麦焼酎は、チーズやソーセージにもよく合います。
麦焼酎に使われている麦はどんな麦?その種類とは?
麦焼酎の原材料に使われている麦のほとんどが大麦です。
大麦は、穂の2列だけ結実する二条大麦と、6列すべてが結実する六条大麦に大別されます。
どちらも実と皮がはがれやすい「裸麦」と、実に皮がくっついている「皮麦」があります。
肝心の焼酎の原料となるのは、明治時代、ビールの原料としてヨーロッパから導入された皮麦の二条大麦です。
大麦は60~65%精麦した丸麦と、精白口圧扁処理した押麦に加工されますが、焼酎の原料になるのは主に丸麦です。
次々に開発される焼酎用の新しい品種
大麦の原材料処理は、まず「搗精(とうせい)」と呼ばれる精麦さぎょうから始まります。
穀皮の下の糊粉層といわれる部分の多くを削り、大麦の大きさは6~7割になります。
ですから、焼酎向きの大麦は搗精を行いやすい品種が向いているということになります。
さらに焼酎向きの大麦の特徴として、粒がやわらかい、作業中に割れにくい、穀皮が薄い、さらにアルコール発酵に必要な、でんぷんの含有量が高いこともポイントです。
このような特性を有する大麦品種として、平成9年に開発されたのが、「ニシノホシ」です。
麦焼酎とウイスキーの違は?
麦焼酎もウイスキーも麦を原材料にした蒸留酒ですが、明らかな違いがあります。
麦焼酎とウイスキーとの違いは、麦を発酵させるための材料の違いによるものです。
ウイスキーは大麦麦芽を、麦焼酎は麹を用います。
さらに、麦焼酎は、ウイスキーのように上澄みだけでなく、原材料すべてを長期間に渡って発酵させます。
樽貯蔵した焼酎は、琥珀色になりますが、なんと、焼酎の見た目の色は酒税法により、ウイスキーの10分の1程度の濃さまでと規定されています。
「壱岐焼酎」は麦焼酎の元祖
九州と朝鮮半島の間、玄界灘に浮かぶ島が壱岐です。
米は年貢に納め、麦を主食としていたため、麦焼酎が造られるようになったのは、当然のなりゆきでした。
江戸時代には、自家製焼酎が造られており、この地で造られる麦焼酎は「壱岐焼酎」と地理的表示が認められています。
壱岐焼酎と呼べるのは、原料の米麹と麦の割合が1対2で、島内の水で仕込んだものに限られます。
晩年の宮本武蔵が造った麦焼酎
剣豪・宮本武蔵は晩年、肥後(熊本)細川藩の客分だったときに、焼酎を造っていたという記録が残されています。
武蔵は八代の菱屋というお菓子屋でハト麦を原料にした、おこしや酒を製造していたと言います。
当時の熊本では、日本酒が造られていなかったこと、ハト麦が原料になっていたらしいことを考え合わせると、麦焼酎を造っていたと考えるのが妥当なようです。
残念ながら昭和に入って菱屋は廃業したので、確かめることはできません。
麦焼酎に使われている品種と具体的な銘柄の例をご紹介
ここでは具体的に、麦焼酎に使われている麦の品種と、その具体的な麦焼酎の銘柄について解説していきます。
ニシノチカラ
ニシノチカラは、九州全県と高知県で栽培されています。
ニシノチカラは、麦焼酎の代表的な品種となります。
代表銘柄;ゑびす酒造「けいこうとなるも」、天草酒造「麦製天草」など
ニシノホシ
ニシノホシは、平成に誕生したニシノチカラの改良種となります。
ニシノホシはでんぷん質が多く、麹の発酵が良いのが特徴です。
代表銘柄;黒木本店「中々」、尾鈴山蒸留所「山猿」など
第一次焼酎ブームを起こした麦焼酎はライトな飲み口の焼酎
今回の記事では、第一次焼酎ブームを起こした、麦焼酎の原料である麦について解説してきました。
麦焼酎は、第一次焼酎ブームでは、ライトな飲み口の焼酎がブームの牽引役となりました。
その後で、麦焼酎は、樽貯蔵の焼酎なども登場し、焼酎の幅を広げる原動力になりました。
もう一度、おさらいすると、今回の記事では、以下の主な3つの内容について、お話させていただきました。
① 焼酎の種類の中で、麦焼酎が持つ魅力について、芳香でマイルドな味わいで、飲み易く、親しみやすいという魅力を解説しました。
② 麦焼酎の原料に使われている麦の種類や特徴について、大麦がメインであることや、大麦でもでんぷんの含有量が多いなどの特徴を持つ品種が焼酎に向いているということを解説しました。
③ 麦焼酎の原料である麦の歴史やウイスキーとの違いについて、壱岐焼酎が麦焼酎の元祖であることや、ウイスキーとの違いは発酵させる材料の違いなどの解説をしました。
この記事を読まれた読者様が少しでも、焼酎に興味を持っていただき、焼酎を好きになっていただけると、筆者としても嬉しい限りです。
この記事は以上になります。
ここまで読み進めていただき、ありがとうございました。
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