山田酒造(やまだしゅぞう)

  • 9月 20, 2021
  • 5月 22, 2022
  • 知識編
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山田酒造(やまだしゅぞう)について

山田酒造のある大勝(おおがち)集落は、緑豊かな山すそにあり水に恵まれた地形です。

仕込み水や割り水、冷却水など製造に使用する水は、蔵の地下から汲み上げた長雲山系の伏流水を使っています。

蔵の脇の道を山側へ奥に進むと、名瀬(なぜ)へと向かう峠道に差しかかる辺りに、小さな川が流れています。

川の名は「山田川(ヤマダゴー)」といい、川のほとりには、かつて地元の農協が運営する酒造所があり、のちに山田酒造の初代となる山田嶺義(やまだ・みねよし)氏が委託職員として焼酎造りに携わっていました。

その後、昭和32(1957)年に、嶺義氏が農協から酒造免許を引き継ぎ、山田酒造を創業。

代表銘柄を「長雲(ながくも)」と名付けました。

造り手曰く、黒糖焼酎の風味のうち、主に甘みは米、香りは黒糖に由来し、その調和が味わいをつくるそうです。

麹(こうじ)は、タイ米に白麹。

黒糖は、沖縄産黒糖をメインに、銘柄により奄美大島産黒糖や、自社栽培のサトウキビを加工した黒糖を使い分けています。

黒糖と米の比はおよそ1.5対1。

ひと仕込みに黒糖300キログラム、米210キログラムを使い分けています。

麹は、ドラム式製麹機で米を蒸して種麹をつけ、三角棚に移して麹菌を繁殖させ、手入れをして造ります。

一次仕込みは甕(かめ)仕込みで、昭和38(1963)年から使用している甕を使い、一次もろみの一部を次回の仕込みに加える「差しもと」をすることで、徐々にもろみに蔵付き酵母が入り、蔵独特の味わいを醸していきます。

二次仕込みではFRPタンクにもろみを移し、黒糖の香りが飛ばないよう蒸気で手早く溶かした黒糖を加えます。

限定銘柄「長雲一番橋(ながくもいちばんばし)」では、黒糖独特の甘い蜜の香りを残すために、蒸気を使わず常温の水で撹拌しながら12時間以上かけて溶かした黒糖を二次仕込みしています。

二次仕込みで黒糖を加えた後、もろみがすごく泡立つのが特徴で、元気よく泡を出す発酵は蔵付き酵母の仕業かもしれません。

仕込みタンクからもろみの泡が溢れてしまわないよう、泡の表面で針金(元は自転車のスポーク)を回転させて消泡する道具を工夫しています。

針金がくるくる回って千切れたもろみの泡がふわふわ散らされるようすは、どことなくユーモラスで可愛らしい姿です。

蒸留は、常圧蒸留のみ。

原料の旨みや香りを取りすぎないよう、過度なろ過は行わず、蒸留機の垂れ口から出てくる原酒をネルで濾して油脂分をとり、ホーロー製の貯蔵タンクに移す際に一度ろ過をし、貯蔵熟成を経て、瓶詰めする前に、浮いた油分や細かいチリを取る程度の軽いろ過をしています。

蒸留直後の原酒は油脂分で白濁していますが、貯蔵しながら自然に浮いてくる油脂分を繰り返し取り除き、濁りのない状態に仕上げていきます。

原酒に溶け込んだ油脂分は熟成されることで、豊潤な香りと味わいがもたらされます。

泡盛と同じ仕次ぎ法で最低2年以上貯蔵熟成させてから商品化していますが、単年の原酒を熟成させた古酒銘柄も造っています。

有限会社山田酒造 鹿児島大島郡龍郷町

取り扱い銘柄 長雲、長雲一番橋、長雲長期熟成酒、きょらじま など

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