奄美大島酒造 について解説
奄美大島酒造は、商事会社や海運業、旅行業などのグループ企業を経営するマルエーグループが営む焼酎蔵です。
初代の有村栄男(ありむら・えいお)氏が、昭和45(1970)年に名瀬の永田町(ながたちょう)にあった末広紹介(すえひろしょうかい)より酒類の製造免許を譲り受け。奄美大島酒造株式会社として創業しました。
同年、奄美大島の酒造8社により共同瓶詰快夫社の奄美第一酒類株式会社が設立されると、同社に「珊瑚(さんご)」や「高倉(たかくら)」の原酒を納めつつ、自社銘柄として「神泉(しんせん)」を販売していました。
昭和57(1982)年に水の良い龍郷町の現在地に工場を移転し、代表銘柄を「浜千鳥(はまちどり)」に変更し、その後「浜千鳥乃詩(はまちどりのうた)」と改めています。
平成元(1989)年、奄美第一酒類株式会社が解散し、奄美大島における共同瓶詰体制は終了。
同社が製造していた銘柄「高倉」は奄美大島酒造に、「珊瑚」は西平酒造に引き継がれ、今に至ります。
造りの特徴は、平成19年(2007)年以降、全ての仕込みに奄美大島産のサトウキビからつくった地場産黒糖を使用していること。
系列の大型製糖工場、富国製糖(ふこくせいとう)株式会社で焼酎製造用に製糖される黒糖は、新鮮で風味が良く、品質は安定していることから酒質にも好影響を与えているそうです。
ひと仕込みに使う原料は、黒糖1140キログラム、米750キログラム、仕込み水は、蔵から2キロメートルほど離れた名水「じょうご川」の地下120メートルから汲み上げ、パイプラインで引き込んだ天然硬水、豊富なミネラルが、もろみの発酵を助けてくれます。
レギュラー銘柄の麹(こうじ)は、タイ米に白麹仕込み。
PB商品など、一部の銘柄では黒麹も使用します。
容量900キログラムの自動製麹機(せいさくき)3基を備え、コンピューター制御で麹を造っています。
仕込みタンクは、発酵温度を管理するための冷却装置を備えたステンレス製。
容量2800リットルの1次仕込みタンク14基と容量7800リットルの二次仕込みタンク28基を備えています。
二次仕込みは、蒸気で溶解した黒糖を仕込む従来法と、鹿児島県工業技術センターが開発した一次もろみに固形の黒糖を投入する製法の二通りで仕込みます。
後者は熱を加えないため黒糖の風味が残りやすく、減圧蒸留するとフルーティーさが出てきますが、熟成すると辛味は出てしまうため、従来法で仕込んだ原酒をブレンドすることで、豊かな香りとまろやかな味わいのバランスをとっています。
蒸留は銘柄により常圧と減圧を使い分けています。
容量3キロリットルの常圧・減圧併用蒸留機2台で、1日に最大5キロリットルの原酒を排出可能です。
貯蔵は、屋外貯蔵タンク28基と熟成用の樫樽(かしだる)500個を備え、総貯蔵量は約2700キロリットルにもなります。
原酒は銘柄により2年~7年の熟成を経て割り水すると味がくっきりとする一方、寒冷地ではオリが出やすいという問題がありました。
そのため現在は、逆浸膜式のろ過機でミネラルを除いて割り水しています。
純粋に近いため口当たりが柔らかく、原酒の微妙な風味がそのまま表れるのが特徴です。
この割り水に合わせ、原酒はややコクを強めた仕上がりになるよう造っています。
奄美大島酒造株式会社 鹿児島県大島郡 龍郷町
取り扱い銘柄 じょうご、高倉、浜千鳥乃詩、やんご など