全国に展開されている焼酎酒造場はどのくらいあるのか?焼酎王国九州の分布図について

  • 7月 31, 2022
  • 7月 31, 2022
  • 知識編
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日本全国の焼酎酒造場についてその軒数の分布に迫る

焼酎の種類は日本全国で5000種を超えると言われています。

日本酒で2000種を超えると言われているのに対し、少ないように感じるかもしれませんが、この5000種を実際に飲んだことのある人は、いないのではないでしょうか?

考えてみれば、世の中の数えきれない商品を実際に手に取って試すことは、不可能だと言えます。

だからこそ、少しでも自分が興味のある分野において、有益な情報というものは、とても有難いものです。

今回は、全国に広がる焼酎蔵について、どのような蔵数の分布になっているかについて、まとめました。

また、焼酎王国と言われる九州について、特に、どの地域がどんな種類の焼酎が生産されているのかについて、解説していきます。

この記事を読み進めることで、以下の主な3つの内容について、知ることができます。

① 日本全国の焼酎蔵に関する、地域ごとの酒造場の軒数について、知ることができる。

② 焼酎王国九州について、6つの文化圏について知ることができる。

③ 焼酎が日本に伝わったルートや、焼酎の大まかな歴史について知ることができる。

それでは早速ですが、次の章より、全国の焼酎酒造場について、解説していきます。

全国の焼酎酒造場は九州・沖縄を筆頭に973軒

焼酎酒造場は、北海道から沖縄まで、全国に広がっています。

ここでは、そんな全国展開されている、焼酎酒造場の軒数と、それぞれの地域の特徴について解説していきます。

また、焼酎王国と呼ばれている九州については、焼酎の文化圏について解説していきます。

焼酎の文化圏とは、芋、米、麦、黒糖など、それぞれが得意とする焼酎が地域ごとに固まっている独特の原材料地域性のようなものがあり、その地域性について、解説していきます。

全国各地の風土を飲む

焼酎酒造場は、北海道から沖縄まで、全国に広がっています。

この中で、最も蔵元の数が多いのが、鹿児島県の123軒となっています。

以下、全国の焼酎酒造場の軒数になります。

順位都道府県軒数順位都道府県軒数順位都道府県軒数
1鹿児島12316岐阜2033高知10
2沖縄5318東京1933佐賀10
3福岡5018山形1933宮城10
4熊本4920静岡1836石川9
5宮崎4521広島1736鳥取9
6大分3622神奈川1636奈良9
7長野3522埼玉1636三重9
7兵庫3522北海道1640山口8
9福島3125愛媛1540山梨8
10茨城2726秋田1442青森6
10千葉2726栃木1442和歌山6
12長崎2628京都1344滋賀5
13愛知2229群馬1244富山5
13新潟2229徳島1246香川2
15島根2131岩手1146福井2
16岡山2031大阪11全国計 973

上記の一覧表を見てもわかるとおり、九州地方が他の地域を圧倒して多いのがわかります。

これは、焼酎がタイや中国、朝鮮といった、南の方から伝わってきたことによるもので、昔から焼酎が沖縄や九州地方で多く作られて、多く消費されてきたことが原因です。

現在、焼酎の蔵元は全国津々浦々に散らばっていますが、本格焼酎の魅力のひとつは、それぞれの土地の味が楽しめることです。

その土地で育まれた農産物や米を原料にしたさまざまな風味の個性あふれる焼酎が次々に誕生しています。

焼酎は歴史もあり、味わいもバラエティーに富む、奥深いお酒です。

全国に広がる本格焼酎の焼酎酒造場MAP

上記の内容で、全国の焼酎酒造場の軒数についておおまかに分かったと思います。

もう少し分かり易くするために、焼酎酒造場の軒数を、地方別にわかりやすく図示してみました。

これをみれば、どの地域にどのくらいの軒数の焼酎酒造場があるのかが、目視的に分かるのではないでしょうか?

日本の地方別の焼酎酒造場の軒数

珍しい原材料例

焼酎の原材料で有名なのは、芋、麦、米、黒糖、蕎麦といった原材料だと思います。

しかし、焼酎の原材料は相当な数の原材料があり、その数は年々増加傾向にあります。

ここでは、その中でも珍しい原材料の焼酎を製造している都道府県について、原材料の種類について記載します。

都道府県原材料
北海道ジャガイモ、長イモ
東京都(八丈島)明日葉、アロエ
長野県クマ笹、長イモ、エノキダケ
岐阜県自然藷
三重県コ麦
岡山県ハト麦、キビ、古米、またたび、ホテイアオイ
高知県クリ
愛媛県クリ
福岡県ゴマ、ニンジン、緑茶、ひまわりの種、のり
長崎県ジャガイモ、わかめ
佐賀県
熊本県牛乳、とうもろこし
宮崎県よもぎ、玄米、クリ、カボチャ、ヤシの実、とうもろこし

全国の焼酎の消費量ランキング

焼酎の一人当たりの消費量が多い地域というのは、おおよそ、焼酎の生産量が多い地域が多かったりするのですが、焼酎酒造場の軒数の多さと、一人当たりの消費量の多さとは、違うようです。

ここでは、焼酎の年間の一人当たりの消費量の都道府県別にランキング形式で記載します。

焼酎の消費で意外に多いのが、大都市での消費です。

これは、流通量なども大きく関係しているのだと思います。

都会にはいろいろなものが手に入りやすいのですが、田舎の方は、販売店なども限られているため、焼酎などの流通が及ばない地域というのがどうしても存在してしまいます。

下記に焼酎の消費量についての都道府県別のランキングを記載しておきます。

都道府県別の年間の焼酎消費量ランキング(連続式蒸留+単式蒸留)

順位都道府県消費量(L)順位都道府県消費量(L)順位都道府県消費量(L)
1鹿児島21.5317山梨7.3433岡山6.09
2宮崎17.3018宮城7.3234徳島6.08
3沖縄11.5419佐賀7.1535和歌山6.02
4大分11.3520高知7.1036大阪5.91
5熊本10.1621広島7.0537香川5.87
6青森9.7122福島7.0238兵庫5.37
7秋田8.8923埼玉6.9639富山5.35
8東京都8.6824静岡6.9440三重5.27
9福岡8.6225長野6.8741石川5.16
10長崎8.5026栃木6.8042愛知5.10
11北海道8.3727新潟6.7543福井5.08
12岩手8.3628鳥取6.5444京都5.01
13山形8.1329愛媛6.4545岐阜4.87
14島根8.1130千葉6.3946滋賀4.65
15群馬7.6831神奈川6.1847奈良4.46
16山口7.4632茨城6.17 全国平均7.53

消費量とは、1人あたりの年間の焼酎消費量です。

焼酎王国である九州・沖縄の焼酎分布図と焼酎のルーツを解説

これまでのランキングなどを見てみると、焼酎王国である九州の、焼酎酒造表の軒数や、焼酎の消費量の多さが際立っているというのがご確認いただけたかと思います。

ここでは、そんな焼酎王国である、九州について、焼酎の分布図について解説していきます。

この図を見れば、九州のどの地域でどんな原料の焼酎が製造されているかが目視的にわかります。

九州の焼酎の文化圏を大別すると、芋、米、麦、黒糖、蕎麦、泡盛など、代表的な原材料で、6つの文化圏に分けることができます。

この文化圏の地域性は単なる目安です。

芋焼酎の文化圏だからといって、麦焼酎が製造されていないのかというと、そういうわけではありませんので、あくまで参考例だとお考えください。

麦焼酎の文化圏

麦焼酎発祥の地は、長崎県の壱岐になります。

この地域では、江戸時代から年貢として納める米ではなく、麦で焼酎を造ったのが始まりです。

他にも、福岡県、大分県、佐賀県も麦焼酎の文化圏と言えます。

蕎麦焼酎の文化圏

1970年代に、宮崎県の蔵元が、蕎麦焼酎を開発しました。

それをきっかけに、蕎麦焼酎のブームが訪れます。

宮崎県や大分県の一部の地域では、蕎麦焼酎の文化圏になっています。

米焼酎の文化圏

熊本県の球磨川宙域に広がる球磨盆地、宮崎県中部は米どころです。

16世紀後半には、この地域で、米焼酎が製造されていたそうです。

芋焼酎の文化圏

宮崎県南部と鹿児島県は主に、芋焼酎の文化圏となります。

17世紀、薩摩地方にさつまいもが伝播すると、すぐに芋焼酎が製造されるようになりました。

黒糖焼酎の文化圏

1953年に奄美群島が、日本に返還された際、歴史的背景が考慮され、黒糖を原料とする焼酎の製造が、奄美諸島のみに許可がされるようになりました。

奄美諸島でお酒といえば、この黒糖焼酎のことを言います。

泡盛の文化圏

泡盛は、沖縄県のみで製造されている、黒麹とタイ米から造る、沖縄独自の製法による本格焼酎となっています。

焼酎はどこからやってきたのか?焼酎のルーツは3つです。

焼酎が日本じぇ伝わったルートはというと、有力な説は次の3つだと言われています。

もっとも有力な説は、15世紀頃に、交易のあったシャム王国(タイ国)、あるいは中国の福建省あたりから焼酎に似た蒸留酒が琉球を経由して奄美諸島、薩摩地方に伝わったというものです。

この蒸留水の製法は、黒潮の流れに乗って、壱岐・対馬、八丈島まで伝わったといわれています。

2つ目の説は、14~15世紀頃、朝鮮半島や中国沿岸で、勢力を奪っていた倭寇と呼ばれる日本武装商船団が、南海諸国から焼酎を日本に持ち帰ったという説です。

取り引きの産物の南蛮酒の中に、焼酎に似た蒸留酒があったというわけです。

3つ目は、古来から交易のあった朝鮮半島から高麗酒が、壱岐・対馬経由で伝わってきたというものです。

1404年に、李朝から日本の対馬領主に焼酎が贈られたという記録も残されています。

日本で焼酎が飲まれたのは、江戸時代以降

ワインやビールなど、醸造酒の誕生は有史以前まで遡りますが、蒸留技術が必要な焼酎などの蒸留酒が誕生したのは、700~800年ほど前のことだと言われています。

ただし、蒸留酒がどこで誕生したのかは、定かではありません。

13世紀頃の中国ではすでに、蒸留酒が飲まれており、中国を蒸留酒発祥の地とする説が有力なようです。

焼酎が日本へ伝わってきたのは、14~15世紀頃ですが、江戸時代までは医薬品として用いられていました。

古代エジプトの頃から蒸留技術のあった西洋でも、蒸留により造られたアルコールは、薬品として使われ、お酒として飲まれるようになったのは、東洋より、2~3世紀も後のことになります。

日本全国に広がる焼酎人気も伸びしろはまだまだある

今回の記事では、日本全国に広がる焼酎の酒造場の軒数や焼酎の消費量に関して、記載させていただきました。

また、焼酎王国である、九州の焼酎の文化圏や、焼酎が日本に伝わったルーツに関しても、記載させていただきました。

焼酎の消費が九州に多いのは、南の方から焼酎が伝わったことが原因です。

焼酎の歴史は、醸造酒である、日本酒やワインに比べてかなり浅いので、焼酎の伸びしろは、まだまだいくらでも可能性があるといっても過言ではありません。

今回の記事では、主に、以下の3つの内容について、記載させていただきました。

① 日本全国の焼酎蔵に関する、地域ごとの酒造場の軒数について、特に焼酎王国と言われる九州地方の軒数が群を抜いて多いことなどについて、解説させていただきました。

② 焼酎王国九州について、6つの文化圏について、芋、麦、米、黒糖、蕎麦、泡盛について、解説させていただきました。

③ 焼酎が日本に伝わったルートや、焼酎の大まかな歴史について、タイや中国、朝鮮などから伝わった説について解説させていただきました。

この記事を読まれた読者様が少しでも、焼酎に興味を持っていただき、焼酎を好きになっていただけると、筆者としても嬉しい限りです。

この記事は以上になります。

ここまで読み進めていただき、ありがとうございました。

以下、本記事など本格焼酎に関してのまとめ記事へのリンクとなります。↓

「自分だけの1本を選ぶ・飲む・楽しむための「本格焼酎」の辞典」を見に行く。

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