本格焼酎ってどういう意味?
この記事を読んでいる読者様は、本格焼酎という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
例えば、ラベルなどをよく見てみると、「本格焼酎」の文字が記載されていたりします。
本格焼酎についてまとめると次のようになります。
● 焼酎には連続式蒸留機を用いて生産した「甲類」と単式蒸留機を用いて生産した「乙類」に分類され、「乙類」の別の呼び方が、いわゆる「本格焼酎」のことである。
● 「本格焼酎」は一度だけ蒸留する焼酎なので、生産性が低いが、それだけ手間暇がかかっている。
● 「本格焼酎」は原材料の芳香や風味が生きている。
では次の章より、「本格焼酎」について、もっと詳しく解説していきます。
本格焼酎の特徴について深く知ろう
ここでは、冒頭でも軽く触れましたが、焼酎の大分類から、本格焼酎に分類されるまでの詳細について、解説していきます。
ここで、このサイトのテーマである、黒糖焼酎は、これから説明する「本格焼酎」に全ての黒糖焼酎が当てはまることになります。
もしこれをお読みの読者様が、少しでも黒糖焼酎に興味があるのであれば、これから述べさせていただく内容は、とても興味深い内容になると思いますので、このまま読み進めていただけたらと思います。
焼酎は製造方法で甲類、乙類に分類
焼酎には、甲類と乙類という2つの種類があります。
「甲」「乙」といっても、これは優劣をつける等級ではなく、1949年に制定された酒税法による製造上の分け方です。
連続式蒸留機を用いた焼酎を「甲類」と呼んだのは、大量生産が可能な連続式のため、生産量が多い分、国にとっては税収も多く、好ましいものだったからだそうです。
ここで、「乙類」となるのが「本格焼酎」になります。
この「本格焼酎」というネーミングについては、1971年から、「乙」という劣ったイメージを払拭させるために、「本格焼酎」というネーミングが使われるようになりました。
焼酎の甲類と乙類との違いを比較
命名 | 甲類 | 乙類 |
蒸留方式 | 連続式蒸留機 | 単式蒸留機 |
蒸留の特徴 | 繰り返し蒸留を行う | 一度だけ蒸留する |
アルコール度数 | 36度未満 | 45度以下 |
原材料 | 廃糖蜜、粗留アルコール | 芋や米、麦など主に農産物 |
味・香り | 香りクセがほとんどない | 原材料の芳香や風味が生きている |
飲み方例 | グレープサワー、ウーロンハイ | ロックやお湯割り |
ブレンド焼酎というのは本格焼酎なのか?
ブレンド焼酎は、甲類と乙類をブレンドして造った焼酎のことで、甲乙の比率の多さで微妙な呼び方の違いがあります。
甲の比率が多ければ甲乙ブレンド焼酎、乙の比率が多ければ、乙甲ブレンド焼酎という表示になります。
しかしこの時点で、甲類が混ざってしまっている時点で、ブレンド焼酎は、本格焼酎には分類されなくなります。
本格焼酎と一線を画す沖縄特産の沖縄の「泡盛」
沖縄古来の特産品である「泡盛」は、単式蒸留機を用いて造られるため、本格焼酎(焼酎乙類)の一種といえます。
しかし、厳密にいうと、タイ米と沖縄原産の黒麹菌を用いたり、二次仕込みをしない製造方法も本格焼酎とは異なります。
また「仕次ぎ」という方法で、何十年も寝かせて熟成させる古酒造りも泡盛ならではの製造方法です。
「泡盛」の名前の由来は諸説ありますが、蒸留時に泡が盛り上がったためという説が有力です。
この泡立ち具合で、アルコール分の強さを図ったといわれています。
本格焼酎の生産性や実例を具体的にご紹介
ここでは、本格焼酎と大量生産方式の甲類との生産量の比較について、数値を確認しながら見てみましょう。
そもそも手づくりの場合、大量に作ることはできないの?
手づくりの場合、もろみが5000Lあっても、これを蒸留すると1800L、約3分の1程度しか造れません。
仕込みの小さな甕(かめ)5個分から一升瓶でわずか1000本分しかできないのです。
本格焼酎は、毎日、丁寧に手をかけるのですから、大量生産はできないというのも、納得できます。
機械と手づくりではどのくらい生産量が違うの?
昔ながらの木桶蒸留法では、1日あたり一升瓶約400本前後の製造が精一杯です。
さらに、麹や原材料の仕込みから蒸留など、約5か月間かけてつくる焼酎が、連続式蒸留など機械にかけると数時間でできあがってしまいます。
各蔵元の手造りへのこだわり:奄美大島にある山田酒造のこだわり
最近の焼酎業界では、全自動で麹を造ることができるドラム式の製麹機(せいきくき)が主流になってきていますが、山田酒造では、米蒸しまでをドラムでして、昔ながらの三角棚で麹を手造りしているのだそう。
山田酒造の代表銘柄:あまみ長雲、長雲一番橋
各蔵元の手造りへのこだわり:奄美大島にある富田酒造場のこだわり
この蔵元の命は、創業以来、70年以上使い込まれた40個の三石甕(さんごくがめ)です。
おかしな匂いがしたら洗浄し、ヒビが入れば補修をし、「大事に使えば千年持つ」と、大切に扱っているのだそうです。
富田酒造場の代表銘柄:龍宮、まーらん舟
各蔵元の焼酎にかける情熱は本物
各蔵元の焼酎への味へのこだわりは、本当に脱帽するような思いです。
そもそも焼酎は、昔であれば、九州がメインで、東京でも、酒全体の2%しか焼酎自体が認知されていない時代もあったのだと言います。
3回~4回ほどの焼酎ブームで、広く全国に知れ渡るようになりましたが、日本酒に比べ、まだまだ焼酎の認知度は高くありません。
また、最近では、外国のお酒の流入も増えてきているので、焼酎業界だけでなく、日本酒も苦戦を強いられているようです。
そのような認知度の中でも、蔵元や、味を決める杜氏などは、日々、美味しさをとことん追求して、焼酎の味の研究、開発に情熱を注いでいます。
このような蔵元の想いなどを知ると、焼酎の味わいもまた違ったものに感じられると思いませんか?
私たちのように、焼酎ファンでさえも、飲んだことの無い、未知なる本格焼酎はまだまだありそうです。
本格焼酎は手間がかかっているからこそ原材料の特徴が味わえる
ここまで読み進めていただいた読者様は、本格焼酎が、いかに手間をかけて製造されているのかについて、かなりいろいろと知識を深められたのではないでしょうか?
もう一度、本格焼酎についてまとめると次のようになります。
● 焼酎には連続式蒸留機を用いて生産した「甲類」と単式蒸留機を用いて生産した「乙類」に分類され、「乙類」の別の呼び方が、いわゆる「本格焼酎」のことである。
● 「本格焼酎」は一度だけ蒸留する焼酎なので、生産性が低いが、それだけ手間暇がかかっている。
● 「本格焼酎」は原材料の芳香や風味が生きている。
このように、本格焼酎は、甲類の焼酎とは比較にならないほどの手間と時間がかかって製造されており、だからこそ、生きた素材の味わいを感じることができるのです。
これから焼酎を酒屋でお買い求めになるときは、「本格焼酎」と記載しているのを確認したら、どんな味わいになっているのかを想像してみましょう。
この記事は以上になります。
ここまで読み進めていただき、ありがとうございました。
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